赤い月 弍
「嘘…」
脂汗が滲む苦悶の表情で頭を抱え、ボロボロになったパジャマでかろうじてその身を覆い、黒い霞に包みこまれてガタガタ震える小鞠だった。
下半身は増殖した『闇』に飲み込まれ、もうその形すら見ることはできない。
街灯の下で蹲っていたのは…『鬼寄せ』の犠牲者は、小鞠だったのだ。
「光が見えるか?」
オニの肩に足をかけて跳び上がり、もう一体の鋭い爪を躱したうさぎが景時に問いかけた。
「足元の?」
手にしたバジュラから斬鬼刀を生み出した景時がそちらに駆け寄り、うさぎと背中を合わせ、構えをとる。
うさぎに爪を躱されたオニはもう一体と衝突し、縺れ合って転がっている。