赤い月 弍

途端に景時は眉を顰め、口を思い切りへの字に歪めた。


(なんなの? その殺し文句。
ズルくない?)


詰んだ。終わった。負けた。
完膚なきまでに。

再び溜め息を吐いて、頭をこれでもかと掻き回す。

さっきと同じ動作だが、俯いた頬は赤く染まり、口元が微かに緩んでいた。


「ねー?
何人で来てンの?」


「は?
後二人… 結界張ってます。」


突然振られた景時の視線と問いに、驚きながらも僧が答えた。

経験を積むと、一人で結界を維持したままオニを狩れるようになるのだが、今夜のサポーターはまだそのレベルではないらしい。

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