赤い月 弍


「この辺りなら、あのオニだったらウチの学校に逃げ込むハズだから。
そっちに張り直してくンない?
いつものじゃなくて、外に被害が漏れないカンジの。
できる?」


「三人いれば…
でも、どうして?」


「どーしてって…」


景時はうさぎを振り返った。

もう怖くない。
躊躇いもない。

極限まで膨れ上がり張りつめた緊張感と精神力が、景時の眉や顎のラインをよりシャープに引き締める。
いつも柔らかく綻ぶはずの唇は固く引き結ばれ、口角のみ自信ありげに持ち上がり、やけに酷薄に見える。

鋭い光を放つ目を細め、睨むかのように強くうさぎを見つめたまま、景時は低い声で言った。


「鬼神を斬るから。
ナニが起こるか、わかんないっショ?」

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