赤い月 弍
だが小鞠は、ココで安堵の溜め息を漏らして蹲る自分が嫌いだった。
強くなりたかった。
泣きながら逃げ隠れしなくてすむように。
強くなりたかった。
(うさぎちゃんみたいに…)
何者にも怯まない、あの瞳。
何事にも動じない、あの物腰。
そして… 誰かを思い遣れる、あの優しさ。
うさぎの全てが欲しかった。
うさぎになりたかった。
だから…あのおまじないを…
(それだけだったのに…)
小鞠は見慣れない自分の手に、視線を落とした。