赤い月 弍

「じゃ、説得係はうさぎね。
俺じゃ逃げられちゃったケド、うさぎならたぶん大丈夫。
小鞠ちゃん、なんだか随分うさぎに心酔してたから。」


「…
『憧れの女の子』じゃからな…」


うさぎは複雑な顔で夜空を仰いだ。


「そのままじゃ小鞠ちゃんが知ってるうさぎじゃないから、とりあえず変化しちゃって?」


「うむ。」


「で、小鞠ちゃんにうさぎの『闇』を受け入れてもらって、他の『闇』が逃げ出したら…
そしたら…」


景時の声がさらに小さくなり、口の中に消える。

膝に置いた細かく震える拳に、白い手が優しく重なった。


「そなたが、斬る。」


視線を上げた景時を励ますように大きく頷き、うさぎは立ち上がった。

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