赤い月 弍
光の女神
地震の後のような。
台風の後のような。
自然災害に見舞われたような惨状を辺りに残し、訪れた静寂。
冬の足音を感じる冷たい風。
嗅ぎ慣れた夜の匂い。
そして、青白く光る月。
全ては夢の跡。
腕で頭を庇い、躰中の骨を粉砕しようとする衝撃にも、衣服を通り越して皮膚を引き裂くナイフのような風にも、歯を食いしばって耐え抜いた景時が、虚ろな目を開けた。
その目が、腕が、細胞の全てが、狂ったように愛しい人を求めている。
うさぎ…
うさぎ…