赤い月 弍
「うさぎちゃん…だよね?」
「そうじゃ。」
うさぎは小鞠に微笑みかけた。
「妾は鬼。
闇より生まれ出で、闇と共に生きる鬼。
そなたの目指す場所とは、真逆に在る者じゃ。」
ほんとに?
口を開きかけた小鞠の目を、冷たい手が覆った。
「そなたは疲れておる。
今は眠るが良い。」
強制的だが久しぶりに安心できる心地よい眠りに誘われながら、小鞠は思った。
『闇と共に生きる鬼』
ほんとにそうなの?
違くない?
だって、あの闇の中で見たうさぎちゃんは光そのものだった。
暗い夜を冷たく、だけど優しく照らす、月のようだった。
高杉くんが言ってたコト、今ならわかる。
私にもうさぎちゃんは、銀色に輝く光の女神に見えたから。