赤い月 弍
落ち着け 阿呆共
死地より帰還した薫は、嬉しそうに、何度も痛いほど景時の肩を叩いた。
それからうさぎの手を両手で握りしめ、千切れんばかりにブンブン振りながら、歓迎の言葉を繰り返した。
「『うさぎ』?
まじで?」
「景時が名付けたのじゃが…
やはり、妾には似合わぬか?」
「!///
いいえ、誰よりもお似合いデス!!」
首を傾げるうさぎに、景時の隣に座り込んだ薫が力強く親指を突き出した。
例によってうさぎはソファー、景時はラグの上。
今もとろけんばかりの表情で、うさぎを見つめている。
薫は、横でアホ面を晒す景時にチラリと目をやった。
(確かめねぇと…)