赤い月 弍

「そんなんでオメェを嫌いになったりしねぇだろ、あの人は。
てか、いつまでもそんなツラしてるほうが、イヤになるわ。
桜木も助かったンだし、なんも問題ねぇじゃねーかよ。」


「小鞠ちゃん、具合どーなの?」


景時が両手で自分の頬を押し上げながら聞いた。
そんなツラしてるとイヤになる、と薫に言われたことを、どうやら気にしているらしい。


「体力戻ったみてぇだぞ。
まー、元々病気なワケじゃねぇし。
明日には出てくるって、前田にメールがあったってよ。」


「まじ?」


景時の目が輝き、その顔にいつもの笑みが戻る。

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