赤い月 弍

「薫ちゃーん? 撮れたー?」


「もうバッチリ。」


上から声が聞こえ、彼女たちが弾かれたように見上げると、下駄箱の上に胡座をかいた薫が携帯を片手に景時に手を振っていた。


「ソレを取り出して仕込むトコロまで、動画で押さえた。
崇めろ。」


「うん。愛してるヨ。」


「死ね。」


いつもと全く変わらない会話を聞きながら三人は必死で言い訳を探すが、突然のことに頭が回らない。


「あの… これは…」


「うん。わかってる。
一目瞭然ってヤツ?
保管してあるお札とセットにして、ジジィに見せよっカナー?」


「待って、違…」

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