赤い月 弍
「俺、言ったよねー?
次は許さないって。
さすがに女の子殴ったりはできないケド?
謹慎くらいは食らうンじゃね?
世論もそっちベクトルだし?
君ら、イジメ常習犯みたいだし?」
普段通りの軽そうな笑顔と口調を向けられて、彼女たちの調子が戻ってくる。
切り抜けられる…
「その、コレはちょっとしたイタズラってゆーか…
ねェ?」
「そーだよー。
私らはイジメなんて…」
「高杉にそんな誤解されてたとか、まじ凹むー。」
この期に及んで媚びまで漂わせた言い訳を展開しだす女生徒たちに、薫は顔を顰めてゲェと舌を出した。
「…イジメてたよね?
私のコト。」
高めの小さい声がした。