赤い月 弍
恐怖そのものだった三人を前にして、胸を張り目を逸らさず、頬を紅潮させて小鞠は立ち向かう。
だが握られたその拳が微かに震えているのを、景時だけは見ていた。
「私も理事長先生に話しに行く。
私が手を挙げたら、他の酷い目にあってたコたちも話し出すかもしれないし。
もう言い逃れさせないから。」
「テメェ…」
いつも逃げ回って泣いていた小鞠の毅然とした態度に、女生徒たちは景時と薫の存在も忘れて嫌悪感を露に罵り始めた。
「ちょっと味方がついたと思って、調子ン乗ってンなよ。
一人じゃピーピー泣くコトしかできねぇクセに。」
「四六時中守ってもらえるなんて、思ってないよねェ?
桜木ちゃーん?
私らに楯突いたらどーなるか」
「どーなるかわかってないのは、アンタらだっつーの。」