赤い月 弍
小鞠は思わず吹き出した。
「アハハ。
多分、みんな知ってるよ。
なんか… 安心した。
元気そうで。」
「景時もそなたも、心配性すぎる。」
うさぎは拗ねたように紅い唇を尖らせた。
よほど外に出たかったらしい。
黒い瞳、黒い髪。
今は人として隣に立つうさぎを見つめながら、小鞠は深呼吸した。
(よし、言う。)
「う…うううさぎちゃん?!」
「…そなた… 大丈夫か?」
緊張のあまり、吃った上に声まで裏返った。
うさぎが怪訝な顔をしているが、今日の…いや、これからの小鞠はこんなコトでは挫けない!
「ああありがとう。
助けてくれ」
「勘違いするでない。」
真っ赤になって紡いだ小鞠の言葉を、うさぎが鋭く遮った。