赤い月 弍
(せめて最後まで言わせてよー…)
意気消沈する小鞠を気にする様子もないうさぎは、厳しい声で先を続けた。
「あの夜、妾の手を取ったのはそなたじゃ。
妾は手を貸しただけ。
そなたの勇気と決断が、そなた自身を救ったにすぎぬ。」
ポカンと口を開けた小鞠が、みるみる頬を染める。
「…
そっかぁ。えへへ。
じゃあ…
手伝ってくれてありがとう。」
「うむ。
…どういたしまして。」
風に靡く長い髪を掻き上げてうっすら微笑むうさぎを見て、小鞠は紅潮する頬を両手で押さえた。
うさぎちゃんは本当に素敵。
『恋』と錯覚してしまうほど。
でも、そうじゃないことは自分が一番わかってる。