赤い月 弍

(『イヤ』とか、ヒドくね?
俺のコトも大切にしよーよ。)


噂の景時は屋上に設置されている給水塔の裏に気配を消して潜み、盗み聞き中だった。

うさぎがオニであることを知った小鞠がどう反応するのか不安だったが、取り越し苦労だったようだ。
もうセルフ鬼寄せをすることもないだろう。
一件落着と言ったところか。

なのになぜか景時の顔は渋い。


(まだ抱きついてるし。
ちょっと長くね?
はーなーれーろー!)


エスパーではない景時の念は、仲良く寄り添う二人には届かない。

ナイわー。
小鞠ちゃんまでライバルとか、まじでナイわー。

いや。
相手は女の子デスヨ?
ただの仲良しサンじゃん?

いやいや。
抱きついてンじゃん。
女子でもいーやーだー

いやいやいや。
俺も抱きしめてもらったし?
背中撫でてもらったし?

いやいやいやいや。
小鞠ちゃんはキスしてもらってマシタYO!

いやいやいやいやいや。
俺も今回瞼に… って、アレは数に入ンねぇだろぉぉぉぉぉ!!

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