赤い月 弍
薫は居住まいを正し、正面から射抜くようにうさぎの赤い瞳を捕らえた。
「なんか腹減ったカモ。
うさぎサマは?
…鬼神って、ナニ食べんの?」
隣の景時が凍りつくのが、視界の端に見えた。
うさぎの唇の端が、ゆっくりと持ち上がった。
アルカイックな微笑みに、全身が粟立つ。
「さて?
そなたらのほうが、詳しいのではないか?」
「俺を喰え。」
即座に、景時が決然と言い放った。
即答かよ。
やっぱりか。
予想に違わぬ景時の反応に、薫は頭を抱えたくなった。