赤い月 弍
「来い。」
「え…」
「囲炉裏はないようじゃな。
竈はあるのか?
きっと食材なども、妾が暮らしていた頃とは違うのだろう。
教えてくれ。
暫く厄介になるのじゃ。
炊事くらいは妾が面倒を見てやろう。」
(上からすぎるし///)
なのに、嬉しすぎる。
てか、嬉しすぎて死ねる。
耳まで赤くなった景時を、隣で薫がニヤニヤしながら見ているが、それすら許せるほど、嬉しすぎる。
うさぎが初めて、景時と共にある未来を口にした。
そしてその手を差し伸べて、景時を呼んでいる。
(『しばらく』なんかで、満足するワケねぇっての。)
日に焼けた大きな手が、白く華奢な手に重なった。
景時はもう片方の手で髪を掻き上げながら、唇の端を歪めるように笑い、上目遣いでうさぎを見た。