赤い月 弍
『女帝』
「こちらでお呼びするまでお待ちください。」
「うむ。」
佐々木は、理事長室で紹介された鬼神うさぎ(オニガミウサギ)という少女に、完全に参っていた。
背に流れる滝のように艶やかな黒髪。
長い睫毛。
漆黒の大きな瞳。
日に当たったことなどないかのような白い肌なのに、唇だけは紅を差したように赤い。
その美しさは、神の領域。
だが、それだけではない。