赤い月 弍
鬼神うさぎを廊下に待たせて教室の扉を開けると、いつも通りの喧騒が佐々木を迎えた。
「チャイムはとっくに鳴ったぞー。
さっさと席に着けー。」
「うぃーす。」
「タケちゃんセンセー、おっはよー。」
それなりにガタガタ席に着くが、教師を敬う心もなにも、あったもんじゃない。
いつもならうんざりするのだが、今日は違う。
こいつらがあの『女帝』を見てどんな顔をするのか、楽しみだ。
思わず口元が緩み、ふと気づく。
(あー…
だから理事長も、いつもに増してニヤニヤしてやがったのか…)
悔しい気持ちは、生徒たちで発散させてもらうとするか。