赤い月 弍

「今から転校生を紹介する。」


「まじでー?!」


「美少女だったり?!」


「なんで女限定?
センセ、イケメンだよねー?!」


「うるさい!!
鬼神うさぎさんだ。
入って下さい。」


彼女が足を踏み入れた途端、お祭り騒ぎだった教室は、水を打ったように静まりかえった。

皆一様にポカンと口を開けたまま、真っ赤な顔で『女帝』に見入っている。
そのくせ彼女と目が合うと、狼狽えて視線を机に落とす。


「うさぎサマ?!」


静寂を破った、驚愕の声。

小山薫だ。

かつてないほど静かな教室を、もう少し堪能したかったのに…

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