赤い月 弍
「小山、知り合いか?
なら、席は近くが」
「佐々木。」
「っはい。」
言葉を遮る転校生の呼びかけと、担任教師の返事。
明らかにおかしいが、本人らを含めツッコむ者はいない。
「確かに薫は知己じゃが、景時のほうがより縁が深い。
席ならあの者の傍に。」
…縁が深いって、ナニゴト?
佐々木が目を向けると、景時は勝手に空いている机を自分の隣に移動させながら、満面の笑みでうさぎを手招きしていた。
佐々木の返事も待たず、クラス中の視線を気にすることなく歩みを進め、景時に無表情に頷きかけながら窓際最後尾の特等席に収まったうさぎ。