赤い月 弍

銀の髪も、ルビーの瞳も、長い爪も、オニの象徴である二本の華奢な赤い角さえもきれいに消え失せている。

超人的な美貌や万人が平伏するようなオーラは隠しきれていないものの、そこにいるのは一見ただの美少女だ。


「…美人は変わンねぇな。」


「うん。
…でも、そのままのうさぎのほうが好き。」


「…」


お医者様でも草津の湯でも、ナントカカントカ…

放置された夏場のアイスのような景時の顔から目を逸らし、薫は青い空を仰いだ。

バァン!


「いたー!!」


勢いよく屋上の扉が開き、見知った三人が飛び込んできた。

< 47 / 215 >

この作品をシェア

pagetop