赤い月 弍

笑ってる…

今まで、ほぼ無表情だった彼女が。
少しは心を許してくれたのだろうか。


(可愛いのは、兎じゃなくて君なンだケド。)


景時の心臓がまたも暴れだし、手がつけられなくなりそうだ。

ダレかーストック持って来てー


「えと… ダメ?」


「いや、良い。
それより、放せ。」


困ったように首を傾げるうさぎの細い腰には、未だ景時の腕が所有権を主張するかのように絡みついたままだった。


「ん。ムリ。
ね、うさぎ? そろそろ帰ろ?」


「帰る? 何処へじゃ?」


キタ、コレ。
返事だよ。

名前呼んだら、返事が来るよ。
会話になってるよ。

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