赤い月 弍

まず返事があったことに、驚きを隠せない。


「…フツーに喋れンじゃん?
喋り方は…まぁアレだケド。」


「お姫様みたいね、ううううさぎちゃん。」


「姫、か。
そう呼ばれていたこともあったようじゃ。」


まじか?姫とかアリか?このコならアリなのか?ちょっと失礼だよ祥子ちゃん!

…とにかくうるさい。

なのにうさぎは嫌がる素振りも見せず、少し楽しげに二人を眺めている。


「俺、二宮大吾!
はじめまして!
ねぇ、高杉とはどーゆー関係なんデスカ?」


猛獣と触れ合おうツアーには参加せず、安全圏に身を置く者の気安さで、大吾が単刀直入に切り込んだ。


「グッジョブ、大吾!!」


大吾の彼女でもある祥子が、彼に親指を突き出しウインクして見せた。

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