赤い月 弍
「…うーわ、スゲぇモン見たわ。」
ギャーギャーうさぎ争奪戦を繰り広げる二人を眺めていた大吾が、隣にいる薫にしか聞こえないような声で呟いた。
「ん? うさぎサマか?」
「や、ソレもだケド…
高杉って、アレが素?
アイツっていつも楽しそーに笑って見せてるケド、根っこ冷めてるっつーか…なんにでも本気にならないイメージだったから…
必死こいてる高杉、超レア。
初めて見たわ。」
「‥‥‥‥‥‥‥‥
実は俺も、あんな景時初めてなんだわ。」
薫は傷のある顔をクシャクシャにして、白い歯を見せて笑った。