赤い月 弍

だが、『慣れる』ということは、良いことばかりではない。

忘れてはいけない。

彼女は美しい野生の獣であり、『女帝』であり…

鬼なのだ。


「鬼神さん?
ちょっと向こうでお話しない?」


それは、秋らしい鱗雲が浮かぶ午後、二年五組の体育の授業中に起こった。

< 61 / 215 >

この作品をシェア

pagetop