赤い月 弍
「ち、違…
ストーカーなのは、高杉く」
「桜木は黙っとけって言ってンじゃん!」
青くなって震えながらもうさぎを庇おうとする小鞠に、怒声が飛ぶ。
小鞠はビクリと肩を竦めるが、うさぎはさっきからずっと顔色を変えることなく、彼女たちの言葉に耳を傾けていた。
「一年の時あんなに可愛がってやったの、忘れちゃったぁ?
桜木ちゃぁん?」
「祥子とツルみだしてから、アンタも調子ン乗ってるよねぇ?」
「また雑巾バケツの水、頭から被りた」
「今日の話に、小鞠は関係あるまい?」
小鞠を背に隠すように進み出て口を挟んだのは、ここに連れて来られてから初めて言葉を発したうさぎだった。