赤い月 弍

「アンタ…」


「要は、嫉妬であろう。
妾が景時と親しいのが気に入らぬ、と。
そなたら、景時に懸想しておるのか?」


「な?!」


「は? ケソー?」


「くだらぬ。
嫉妬に駆られ妾に絡んでおる暇があるのなら、景時に振り向いてもらえるよう己を磨くが良い。

どれだけ磨こうが、妾の足下にも及ばぬであろうがな。」


最後の言葉と、目を細め片方の口角を上げた妖艶で高慢で…軽蔑を露にした微笑みに、三人だけでなく小鞠まで戦慄した。

彼女は怒っている…。

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