赤い月 弍
確かに小鞠の後ろにいたはずなのに…
忽然と女生徒たちの間に現れたうさぎが、小鞠をぶった女の背後でその手を片手で掴み、捻り上げていた。
「?!
アンタ一体… ヒっ?!」
うさぎが一瞥しただけで、残る二人が恐怖に目を見開き硬直した。
まるで死人のような顔色だ。
「小鞠に詫びるがよい。」
もう涼しげな口調ではない。
静かだが、血も凍るような怒りを滲ませた低い声。
「っっな…んでっ
ギャアァァァ!!」
さらに捩られた腕と肩が悲鳴を上げて軋み、立っていられず、崩れるように地に伏せる。