赤い月 弍

「うさぎ!」


誰かを押さえ込むうさぎ。

そのうさぎを取り囲んで動かない、二人の女子。

茫然と座り込む小鞠。

わずかに感じる鬼気を頼りに体育館裏に辿り着いた、景時の目に飛び込んできた光景だ。

うさぎに腕を極められている女が弱々しく身を捩りながら、苦痛に歪む顔を上げて景時を見た。


「た… たすけ…」


「景時。」


うさぎが手を放すことなく、女の言葉を遮った。


「この者らは、妾が気に入らぬそうじゃ。
妾に手を上げようとし、妾を庇った…小鞠を打った。

やっても良いのであろうな?」

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