赤い月 弍
「高杉にあの子がまとわりついて…」
「高杉が困ってると思って…」
「高杉の代わりに注意してあげようと…」
高杉、高杉、高杉…
自分を取り巻く三人の女生徒が繰り広げる言い訳を聞いて、景時は確信するとともに愕然とした。
(コレ、俺のせいじゃん…)
よりによってうさぎを、明らかにイジメまがいに吊し上げようとした彼女たちに非があるが、種を蒔いたのは確実に自分だ…
景時は、腹立たしげに赤い髪を掻きむしった。
その顔にいつもの笑みはない。
「…あのねー。
見てりゃわかんでショ。
うさぎが俺につきまとってンじゃねぇの。
俺が、うさぎに、つきまとってンの。
うさぎが傍にいてくんないと不安で気が狂いそーになンのは、俺のほうなの。」