赤い月 弍
「ふぁい?!」
「いつまでも、そのように見るでない。
妾に穴を開ける気か?」
うさぎが眉根を寄せて、景時を睨んでいた。
嬉しさのあまり、彼女の顔をガン見しすぎていたようだ。
「ごめん、ごめん。」
謝りながらも名残惜しさ満載で景時が少し視線を逸らすと、着物の裾の合わせから、細い足首が覗いていた。
褐色に汚れている…
「それ… 血?」
「ん?
あぁ、そなたの血じゃな。」
よく見れば、目立たないが、赤い着物もあちこち変色していて、景時は申し訳ない気分になった。
他に手はなかったとはいえ、バカなコトをしたものだ。