赤い月 弍
(『そなた』って、誰?)
喉まで出かかった問いを、奥歯を噛みしめて押し殺す。
知りたいけど、知りたくない。
知るのが怖い。
俺は優しくなんかない。
俺は臆病でズルいンだよ。
俺は、『そなた』じゃない…
だから…
「俺の傍にいろよ。
俺ならそんな顔させないから。
君を守るから。
ちゃんと俺を見ろよ…」
日が落ちる。
うさぎの銀の髪だけが、微かな光を放つ。
このまま溶けあって、離れることなどできなくなればいい…
「無理じゃな。」