愛のカタチ
どうして逃げないかって聞かれたら、私がチキンだからに決まってるじゃないか。
今一歩でも進んだら間違いなく、崩れ落ちる自信だってある。
ああだからこのまま、なにもなかったことにして、私に気づかないのが一番ベストなんだけど。
なのに。
私の良く知る人物と共にいた2人の男の内1人が、まるで誘われたようにこちらを見た。
天然なのかなんなのか、ふわふわ揺れる金髪を揺らしながら、碧い瞳が私を見て目を見開いた。
あれって顔してる。
うん。
間違いなくあの目は私を見ている。
それから今度はその隣で、けたけた何がそんなに面白いのか、一方的な暴力を見ていた男が、どうしたって顔で私の方を振り返った。
真っ黒な髪を後ろでまとめて、少し垂れた目をこちらに向けた。
だからなんでそのまま目を見開いて止まるの。
お願いだから見ないでほしい。
ていうかそのままスルーしてくれると、とても有り難い。