跪いて、Kiss -episode 0-
怖い。怖すぎる。肉食系、マジハンパない。



でも…ううん。だからって…。



「やっぱ無理。無理無理。こんな俺サマ顔だけ男なんて絶対無理!」



「は?」



「ファーストキスは優しくて格好よくて素敵な王子様とって決めてるの!好きな人とって決めてるの!」



「うわぁ…出たよ。雪乃の妄想王子」



「うんうん」



「いーじゃん!伊都くんなら!こんなイケメンとキスなんて、一生出来ないよー!」



「よくない!!ってか、こんな顔だけナルシスト…」



「オイ」



「なによ!」



「えーと…雪乃ちゃん?心の声、だだ漏れ?」



「えっ…ヒッ!」



苦笑いの亮輔くんの言葉にハッとし、おずおずと顔を上げれば、怒りに口元をヒクつかせる伊都サマ。



「あー…えっとぉ…あの、」



「テメッ…」



「ヒィッ!」



「いっ、伊都?とりあえず落ち着け…」



「ギャッ!」



「「「キャァァァー!!!」」」
「「「なっ!?」」」



瞬間、グイッと腕を引かれ、その反動でソファーにダイブしてしまったあたしは、結果、伊都サマに抱きつく形となってしまった。

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