夜籠もりの下弦は恋を知る
「潤?どうしたの?」
どこか様子がおかしいと気づいたらしい揚羽が、呆然としている友人に声をかける。
「あ、いや…うん。何でもないよ…」
どうやら揚羽には今の会話は聞こえていなかったらしい。
「潤さん?」
重衡も心配そうに見つめてくる。
「フフッ、よろしくね。潤さん?」
彩音は魅力的な笑顔で潤の手を握り締めた。
(何だろう…胸がモヤモヤする…)
自覚のない嫉妬心が、潤の内側をゆっくりと侵食していった。