夜籠もりの下弦は恋を知る
さて、戦況はどうなったのだろう。
「何!?富士川で平氏の軍が敗走!?逃げ帰ってきたと申すか、維盛!!」
清盛の怒声を浴び、維盛は青ざめた顔を俯かせた。
大将軍として軍を率いた維盛は、富士川というところで源氏と合戦をするはずだった。
しかし夜、水鳥が一斉に飛び立った羽音を源氏の軍が奇襲攻撃をしかけてきたと勘違い。
情けなくも驚き慌てて、刀を交えずして逃げてきたのだった。
「申し訳、ございませぬ…」
「これが申し訳ないですむか!!維盛!そちを鬼界が島(キカイガシマ)へ流罪とする!!」