夜籠もりの下弦は恋を知る
「維盛様が流罪!?」
知盛の妻である治部卿局(ジブキョウノツボネ)の御所へ遊びに来た輔子は、とんでもない情報を耳にしたのだった。
「あら?重衡様からは何も聞いてらっしゃらないの?」
「はい…。でも何となく昨夜は、気もそぞろといった感じでした」
「あら、それはいけませぬこと。褥(シトネ)の時くらい憂き世を忘れ、妻である我が身を掻き抱いてほしいという女心がわからないのかしら」
「ま、雅子様!お慎み下さい!」
真っ昼間から少々よろしくない表現に、頬をほんのりと赤らめる輔子。
「フフッ、初々しいですね。恥じらうそなたも可愛らしい」
(う…からかわれた…?)
楽しそうに笑みをつくる雅子。
「お、お戯れ言を…」