夜籠もりの下弦は恋を知る
現代④:何も理由なくあんなことをする貴女じゃないでしょう!?
〈現代④〉


 (胸が、苦しい…)

潤はレシーブをしながら昨日の出来事を考えていた。

「ちょっと潤!真面目にやってる!?」


今は体育の時間。

体育館でバレーボールの試合をしているのだが、潤は試合中ボーッとしている。

「集中!集中!」

チームの女子リーダーが潤に声を飛ばした。

「はーい」

投げやりな返事を返してボールを受け取る。

次のサーブは潤だ。

「サーブいきまーす」

ボールを構え打とうとした瞬間、潤の目の端に彼が映った。


(あ…重衡さん…)


隣のコートでは男子たちが試合をしている。

全クラス合同の体育なので、もちろん重衡もいるわけで。





胸がチクリと痛んだ。


――しーちゃん


馴れ馴れしく呼んでいた彼女。


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