夜籠もりの下弦は恋を知る
潤は揚羽の言葉を聞きながら俯いた。
(重衡さんは…どう思ってるんだろう…?彩音さんが前世、中納言局だったって知ってるのかな?)
知っているとしたら、どんな目で昔の浮気相手を見ているのだろうか。
「こら!暗いぞ!」
揚羽に思い切り背中を叩かれた。
「ウジウジしてないで、平野くんとデートの一つや二つすればいいじゃん!」
「へ!?」
突然の提案に、潤は目を丸くした。
「無理無理無理!!デートなんて絶対無理!!」
「なんで?そこまで嫌がること?」
(重衡さんと二人きりになった瞬間、貞操奪われそうで恐い…!!)
前世でも手が早かった重衡だ。
今もそのスピードは健在だろう。
「と、とにかく…デートは遠慮しておくね…」
さて、このモヤモヤ感をどうやって解消させようか。
潤は一人、溜息をついた。