夜籠もりの下弦は恋を知る


 放課後、潤のクラスにまたもや重衡がやって来た。

けれど、今日はどうやら一緒に帰れないらしい。


「すみません。今日はバイトがあって…」

「へえー、バイトしてるんだ」

「バイトと言っても、宗盛兄さんの店の手伝いですよ。喫茶店を経営しているので。まあ、そんなことは置いといて…メアド教えて下さい」

「え?私の?」

潤のメアドを求める重衡。

(何しに来たのかと思えば…メアドか)

「いつでも好きな時に貴女と連絡をとりたいですからね。現代は昔の文より速いから便利です」

(ここで断っても、多分無意味だよね…)

おそらく重衡なら、揚羽を脅してでも潤のメアドをゲットしにかかるだろう。

「……わかった。ちょっと待ってて」


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