夜籠もりの下弦は恋を知る

「前世が何か?」

不思議そうな顔をする重衡。

「あのね、私ね」



――ワタシがほしかったモノを、この人はもっていた…



「前世でしーちゃんの子ど…」




――ワタシガホシカッタモノヲ、



コノオンナハ



モッテイタ…











「きゃああ!!!!」



一瞬、だった。


彩音の言葉を遮るように、潤は彼女の顔を目掛けて勢いよくパフェをかけた。

イチゴの赤とバニラアイスの白が彩音の髪にべちゃりとくっつく。

誰も予想していなかった出来事に、皆、目を丸くした。


「潤、さん…?どうしたんです?なぜ…こんなことを…?」

重衡が困惑した様子で尋ねてくる。

ここで潤は我に返った。


「あ、あぁ…わ、わた…し…」


しでかした事の重大さに気づき、身体を震わせる。


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