夜籠もりの下弦は恋を知る
「そしたらなんと!我が子供たちも前世の記憶を持ち生まれてきたではないか!現代の世においても我ら平氏の団結力は劣ら…」
「はい。父さんの話は長いからここまでです」
(あ、息子がお父さんの話をぶった切ったよ)
「潤さん、貴女は前世で俺の妻だったんですよ。貴女は覚えてないかもしれませんが、俺にはわかる」
「どの辺でわかるんですか?…見た目?」
潤の素朴な疑問に、かなりいい加減な回答が返ってきた。
「初めて目が合った時、こう…ビビッときたので」
(要するに、直感かい)
「そんな疑わしい目で見ないで下さい。俺の兄さんたちもみんな、そんな感じで前世の奥方の生まれ変わりを見つけ出し、結婚してます」
「え…?結婚…?」
「はい。だから俺たちも、いずれ…」