夜籠もりの下弦は恋を知る
「ちょっとストップ!!私が貴方の奥さんだったっていう証拠もないのに、結婚なんて無理だから!!」
(第一、今の私にとっては知り合ったばっかりで、お友達コースもまだなのに恋人通りこしていきなり結婚はないでしょ!!)
「俺と前世に交わした最後の言葉を覚えていたでしょう?それが何よりの証拠ですよ」
「で、でも!あれは偶然たまたまかもしれないし…!」
よくわからない言い訳をする潤に対して、重衡は顔面に黒い微笑みをたたえた。
「ではさらなる証拠を、貴女の中から引きずり出しましょう」
(へ?)
重衡の顔がやけに近いと思ったら、本日二度目の不意打ちキス。
「っ~!?」
(父親の前で何さらすんじゃー!!!!)
「おお、相変わらず重衡は積極的だなぁ」
(お父さんー!?感心してないで止めてー!!)
潤の心の叫びも虚しく、キスが濃厚なものに変わろうとした時だった。
「ただいま…」
障子が開かれ、誰かが入ってきた。