夜籠もりの下弦は恋を知る
振り返った人物は不自然に言葉を切った。
(ん?何だろ?私のこと見て固まっちゃったよ、この人)
端正な顔に驚きの表情をつくり動かなくなった男子学生。
(それにしても、綺麗な顔立ち。こんなイケメン、うちの学校にいたっけ?)
制服はしっかり潤の高校のもの。
だが、見覚えがない。
(一年とか?…にしては背が高いよね)
のんきなことを考えていた潤に、次の瞬間、衝撃が襲った。
「す、輔子(スケコ)…!!」
(………は?)
気がついたら、潤は彼に全力で抱きしめられていた。
「会いたかった!夢のようです。また貴女に巡り会えるなんて!」
(え!?ちょっと、何を言ってんの?この男子!)
今度は潤が固まる番だった。
初対面の彼の行動についていけず、脳内が真っ白になる。