夜籠もりの下弦は恋を知る
「この辺が私のオススメ。青いのと緑のが花柄で、紫のは蝶柄」
(ううー、私のセンスを試されてる感じ…)
決めかねている潤に、徳子はちょっとしたアドバイスを送った。
「…弟は昔、貴女のことを蝶のような方って言ってたわ」
「蝶…?私が?」
「フフッ、普通男が蝶で女が花なのにね。…でも、いい意味でも悪い意味でも、貴女は重衡にとって蝶なのよ」
どこか大人びた穏やかな微笑を浮かべる徳子。
「蝶…ですか」
(そう言われると蝶柄を着なきゃな~とか思っちゃうよ)
潤は紫の蝶の着物を手に取り、ちらりと徳子の顔をうかがった。
(うっ…徳子さんの目が蝶柄着ろや!って言ってる!)
「どうしたの?」
「いいえ!?どうもしてません!ではあの、この着物お借りします!」