夜籠もりの下弦は恋を知る
(うにゃあああ!!!!見るな!!笑うな!!見つめるなぁ!!)
重衡の熱視線を至近距離で直に浴びたせいだろう。
潤は目をグルグルさせてのぼせ上がった。
(嗚呼…その甘いマスクが、憎らしい…!)
性格はさておき、顔は好みなのだ。
下手に間近で見るのは色々と脳に悪影響を及ぼしそうだと考えていると…。
「潤さん!!」
重衡にガッチリ両肩を掴まれた。
「え!?な、何?」
「そんなに瞳を潤ませて、頬を上気させて…。嗚呼、この愛らしい唇に口づけることを許してくれますか?」
「え!?あの、重衡さん!?」
(頭大丈夫ですか!?つーかこの人、正気ですか!?)
肩を動かせないため逃げることもできない。
潤が「どうしよう!」とあわあわしていると、重衡が焦れたように言った。
「もう、いいです。貴女の許しがなくても、奪いますから」