夜籠もりの下弦は恋を知る

(何が不可抗力だー!!)

叫び出しそうになるのを必死で堪えていると…。

「阿呆、責任転嫁するな」

知盛が何食わぬ顔でやって来て会話に参加した。

(あ、知盛さん、着物姿もカッコイイ。あれ?そういえば、重衡さんも…)

深海を思い起こさせるような、黒に近い青。

重衡が着ているそれは、彼の白い肌を美しくひきたたせる効果が少なからずあるようで、潤はうらやましく感じた。

「来たわね知盛!貴方の席はここ」

麗花が夫の知盛を手招きし、自分の隣に座らせる。

「早いな雅子(マサコ)。もう来てたのか」

「ちょっと、前世の呼び方はやめて!今は麗花っていうお気に入りの名前があるんだから」

「フフッ、悪かった。つい癖で。そう拗ねるなよ」

そしてご機嫌とりのため、頬にキスを一つ。

「うわ~ラブラブですね」


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