夜籠もりの下弦は恋を知る
嫌みではない。
純粋に感心していたら、トテトテという可愛らしい足音が近づいてきた。
「ママー!」
(あ、ちびっ子だ)
幼稚園生くらいの男の子が、大広間に駆け込んできた。
いっちょ前に子供用の着物を着ている。
そしてその子は麗花の膝の上に座った。
「可愛い!息子さんですか?」
「そうよ。ほら、お姉ちゃんにあいさつできる?」
母親に促されて、男の子は頑張った。
「ともあきら、5さいです!」
クリクリお目々をしっかりと潤に向けて、小さな手で五歳の五をアピール。
(…か、可愛い!!!!なにこれなにこれ!?超絶カワイイ!!)
「知章(トモアキラ)っていうの。この子も前世と同じ名前よ」
潤は麗花の説明よりも、目の前のキューピッドに意識を持っていかれていた。
「抱っこしたい…」
ぽつりと本音が漏れる。
「良いわよ?してみる~?」