夜籠もりの下弦は恋を知る
「したいしたい!おいで~」
潤の手招きに恥じらう五歳、知章。
(あらら…一筋縄じゃいかないか)
ちょっと諦めかけていると…。
「俺にしません?」
「ひゃああ~!!!」
重衡に後ろから優しく抱きしめられた。
「抱き着くなぁ~!!」
暴れてみる。
「知章より俺をかまって下さいよ」
少し怒ったように言う重衡。
「え~。知章くんの方がカワイイし、重衡さんが拗ねることないでしょ」」
すると、離したくないと訴えるように、さらに強く抱きしめてくる。
「大きくなった前世の知章を知っているので、五歳といえども許せません」
そして鋭い視線で知章を威嚇する。
(おい!罪のない知章くんを睨むなよ!)
「フッ…大人気ないな」
父親である知盛が息子を麗花の膝から抱き上げた。